車田研一先生のセミナー

福島高専の車田研一先生に研究セミナーをしていただくことになりました。

日時 12月9日10:00-12:00
場所 金沢大学自然科学1号館4Fセミナー室
内容 コンクリート/モルタルの熱劣化の診断因子としての内部微細構造
概要
セメントはその製造に際して大量のエネルギーを必要とし,さらにその生成反応において多くの二酸化炭素を放出する.このため,コンクリートやモルタルでできた構造物が種々の要因で劣化することを強いられたとき,それがもはや使用に耐えうるものであるか否かを正しく判断するための診断的方法論が必要である.ここでは,熱劣化セメント材の使用の可否に深くかかわる,劣化要因とその程度診断に関係する熱変成現象をとりあげる.長時間高温に曝されたセメントベースの建材(コンクリート/モルタルなど)の強度の低下はインフラストラクチャーの維持管理上の重大なリスク要因である.筆者らは,日単位の長時間加熱を経たセメント系建設材料の圧縮強度の低下と,それに並行しておこる内部の微細構造の相関を実験的に検証した.その結果,300?Cから400?Cの温度領域で徐々に始まるCSH(ケイ酸カルシウム水和物)成分の脱水反応による水の発生がセメント部にナノバルーン状の孤立型ヴォイドを生成させ,圧縮強度を急激に低下させることがわかった.500?Cでは,発生する水蒸気の内圧の大きさのため上記の孤立型のヴォイドが外へ通じた孔(開孔)へ転化する.このため,いったん熱劣化したセメントの再水和による圧縮強度の回復は,加熱温度が500?C超のばあいに顕著になる.これは,開孔化により,外界から水が物理的に浸入しやすくなり,脱水和したケイ酸カルシウム部が再び水と反応し,健全な状態のセメントの主成分であるCSHへ再転化するためと考えられる.

車田先生は,わたくしの京大時代の恩師です。化学工学の可能性を常に追求されているご研究をされており,今回は,コンクリートやモルタルへの展開です。大変興味深いご講演になると思いますので,皆さん参加してください。