高分子の構造と物性という本が、講談社から出ています。
松下先生、佐藤先生、金谷先生、伊藤耕三先生、渡辺先生、田中先生、下村先生、井上先生という日本の宝のような人たちが溶液論から固体物性まで熱く語っています。教科書から熱さがこみあげてくる本てなかなか出会えないものですよね。
緩和時間が長いというのは、じっくりやる日本人の気質には合っていますね。
本文の内容については、また、後日感想を述べていければと思いますが、 「おわりに」に面白いエピソードがありましたので紹介します。 当初松下先生に遠藤先生から執筆の依頼があった時に、「式を使うな」という要求があったそうです。いかにも、化け屋らしいです。しかし、幾多の葛藤の末に、執筆者たちは、「この分野の学術を真に記述するためには、基本的な式は避けられない」というみごとな、それもごく当然な結論に至り、開き直り、この大作が出来上がったそうです。構造物性屋の心意気を感じます。構造物性こそが高分子の本流です。
話のレベルが下がるのですが、 学生への研究室紹介というのがあり、 ふと研究ってなんだろうと少し考えました。 以下の図のように、掘り下げる研究と広く浅く(水平展開)する研究があって、 研究室の中で両方行えるといいだろうなと、改めて思ったわけです。 ポイントは、その割合ですね。どうしても水平展開がやりやすいのですが、 深く掘り下げないと、研究領域は広がりませんね。